セキユズリ
僕は席を譲ることに関しては、
誰にも引けを取らない。
公園のベンチ、
バスや電車内のシート、
待合室の椅子・・・・・・・。
今まで誰一人として
僕の『席ユズリ』を
断ったものはいない。
やがて…。
その噂は広がり
全国のツワモノどもが
僕に挑んできたが、
すべて敗れ去った。
そして今日。
遂に僕は
『席ユズラレナイ』
チャンピンオンと対戦した。
チャンピオンの名前は、
バカニスルナ=
オレハソンナトシジャナイヨ。
無口で、偏狭で、
頑固、僕がもっとも
苦手とするタイプだ。
戦いは長時間にも及んだ。
僕:「ど~ぞ、ど~ぞ」
(あらかじめ用意しておいた満面の笑み)
彼:「・・・・・・・」
(迷惑そうな表情)
僕:「さっさっ、おかけになって」
(敬意を払い右手を差し出す)
彼:「・・・・・・・」
(完璧無視)
僕は焦った、
せつないため息をもらし、
大きく息を吸った。
いままでの
やり方では勝てない、
そう悟った僕は・・・・・。
懐からピアニカを取り出し、゙
エーデルワイズを奏でた。
軽快なメロディに、
彼は表情が緩み、
体を揺すり、
口笛を吹きだした。
「♪♪~~♪♪♪~~♪~!!!」
突然、
僕は演奏を止めた。
その瞬間、
長い戦いは終わり、
勝利は僕の手に。
人々は
惜しみない拍手を送り、
僕を賛美した。
僕は席を
譲ることに関しては、
誰にも負ける気がしない。
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