ただの日常、タダの呟き

誰にも活力を与えない脱力系ブログ

雨3

 

フラフラと、
歩いていたら…。

進行方向とは、
逆の横断歩道で。

お爺さんが。

ゆっくりと
杖を付きながら。

トボトボと
歩いている。

雨もザーザー
降っていたので。

なんとも
失礼ながら。

その歩みが、
カタツムリ
みたいで。

なぜか愛らしく、
想像して勝手に
ほくそ笑む。

淡い色した
紫とピンクの
紫陽花なんぞ
近くに咲いてたら。

さぞや
絵になるな~と、
思っていたら。

青信号が
非情にも
チカチカと
点滅しだした。

お爺さんは、
まだ半分も
渡りきっていない。

その光景を。

直接見ている
訳ではないが、
視界には入っている。

青信号が、
赤信号に
変わっても。

お爺さんの
ゴールは
マダマダ遠い。

進行方向の
青信号も
ソッチのけで。

気にしている
コッチもなぜか
ソワソワしてくる。

気がつくと。

連鎖的に
車の不快な
クラクションが
歩道の周囲に
響き渡る。

これはさすがに、
手を貸した方が
いいなと思った。

その瞬間。

金髪の鼻ピー、
革ジャンロッカー風の
若者二人が。

赤信号の
横断歩道に
サッと飛び出して。

お爺さんの
両手を引いていた。

もちろん雨の中、
彼らはびしょ濡れだ。

何分もかけて
セットしたであろう
髪型も崩れている。

その光景が、
なぜか美しく。

安堵はもちろん、


ヨノナカステタモンジャナイ。

そんなベタな
言葉が頭を過ぎる。

今朝勝手に
耳に入ってきた、
偽善政治家の
くだらないニュースとか。

一瞬で吹き飛ぶくらい。

気持ちのいい
雨の日の出来事でしたとさ。




 


宝くじを
毎年
買う大人。

実は、
自分の
父なのだが…。

駄目か~とか。
またか~とか。

数字を
照らし合わせながら、
ボヤいている。

毎年恒例なんですが。

ま~ボヤいている。

70手前の
オッサンが
ボヤいてる。

他人から見れば、
そこそこ良いラインの
人生を全うしたし。

来年どうなってるか、
なんて分からない
病気も患ってやがるのに。

まだまだ
夢は買うらしい。

馬鹿だな~とか、
クチでは言ってっても。

心の底では、
カッケーなーと
思ってることは。

絶対言わない。

死んでも、
やっぱ言わない。

ただ。

うん。

そういう男に、
やっぱり憧れる。


くそっ!
まだまだ高い
オヤジの背中。


 

 

 

 

環境や立場が
変わっても。

働くことに慣れる、と。
ふと、たまに気づく。

同じことの繰り返し。
同じ日々の繰り返し。

こんなこと
あと何年続ければいいのか。

何年も前と
同じ愚痴を言って。

自分のストレスの
捌け口を見つけて。

酒に酔っ払って、
言い過ぎたと自省する。

こんなこと
あと何年続ければいいのか。

とか。

言ってもまた繰り返す。

何が正しくて、
何が悪いのか。

淡々とこなしていけば、
それで全てオッケーなのか。

淡々と敵を作らず、
こなしていけば良しなのか。

とか。

言ってもまた、
同じことを繰り返す。

思考の方向性を
どこか違う所に
持っていけば…。

少しは楽なのか。

少しは楽しいのか。


息が詰まる。




 


自分の名前の
由来を親に
聞いたことがある。

文“章”に“弘”く。

精通するように。

そんな想いが、
込められた名前らしい。

ただ当の本人は…。

活字が嫌い
だったし。

国語なんか
2以上の評価を
受けたことがない。

名前の由来を
聞いて初めて。

何かしら
その方面で。

意味のある
仕事をしたいと、
思ったこともある。

ホント親も
勝手だし。

与えられた
運命じみたモノに
突っ走った本人も。

やっぱ勝手だ。

ただ。

他人にとっては、
些細なことなのだが。

自分にとっては、
大切なものは。

やっぱあって。

ずっと、ずっと。

魚を食べた後に、
歯に挟まった骨みたいに。

取れそうなようで、
取れないことが。

ずっと
シコリのように
引っかかってる。

やっぱ。

名前って、
結構人様の
運命を左右する。

キラキラネームとか、
付けられた子供は。

ほんと大変なんだろう、な。


 

 

妹みたいな友人の話。

“大動脈炎症候群”

こういう病気の
名前を知ったのは。

4年前の話。

耳鳴り、立ちくらみ、失神。

そんな症状が
頻繁に起きる
原因不明の難病。

通勤前の自宅で、
突然意識が無くなり、
救急車で運ばれて…。

そのまま1年の
寝たきり状態に。

様々な病院で
治療を施し、
体調も安定しない
毎日が続いたらしい。

投与した薬の
副作用で顔が
パンパンに膨れ上がり。

アンパンマンみたいでしょ」

と笑って見せる、
彼女の笑顔が
少しだけ痛々しかった。

入退院の末、
去年から病状は回復し、
働けるまでに元気になった。

昨日……。

そんな彼女の
結婚式に招待された。

天気予報は雨。

もちろん当日も
土砂降りの、
やっぱ雨。

神様も
意地悪だよな~と、
思いつつ。

駅前ホテルの
最上階で、
披露宴はスタート。

この年になると、
大抵の演出にも
まー慣れたもので。

大した
感情の揺れもない。

だろうと、
思っていた……。

純白の
ドレスを纏った
一人の女性が……。

父親であろう
男性に連れられて、
入場して来た時。

あまりにも
その佇まいが
綺麗すぎて。

涙が止まらなかった。

なぜか嘘みたいに
その瞬間だけ
意地悪な
雨も止んで。

窓から差し込む
太陽の光が
彼女を照らす。

死にたい、
死にたいと……。

泣きながら
電話してきた
彼女の過去の
言葉がなぜか頭を過ぎり。

感情が溢れ、
涙を抑える事が
できなかった。

今まで見てきた
どんな花嫁よりも
心底美しいと思った。

本当に綺麗だった。

どうか……
末永くお幸せに。

ステキな一日を
ありがとう。